強欲ではダメなのか

久々に朝ドラ「エール」にハマっている。ハマっていると言っても、きちんと見出したのはここ数週間で、それまでは週に一度見るか見ないか(それもたまたまテレビをつけていた時に)という感じだった。それでもストーリーを追えるのが朝ドラのいいところ。昼に見たり夜に見たり、その気になれば土曜にBSでまとめて見ればいい訳だし。そんな適当に見ているのにハマっているとか言ったら本当のファンに叱られそうだけれど…。

ちょうど先週は、主人公の妻である音の妊娠が発覚するところ。音は歌手を目指して学校に通っており、オペラ「椿姫」の主役の座を熾烈な戦いを経てゲットして稽古に励んでいるという最中(にわかファンでもここまでストーリー追えているでしょ笑)。

椿姫の演出家や出演する人たち、そして家族も誰もが当たり前のように「音は主役を降板、学校は退学し出産・育児に専念するもの」と思っていたのだけれど、当の音は、子どもは産むけど主役も学校も辞めないという。そこで永遠のライバル(なんだよね?)の千鶴子に「やっぱりあなたは強欲ね」と言われてしまうのだけれど…。

うーん、うーーーん…本当にこれ、どちらの気持ちも分かりますなぁ…。

だってやっと掴んだチャンス。それも棚からぼた餅的なものではなくて、血の滲むような努力をした結果手に入れた主役の座。これが上手くいけば目の前に夢の歌手への道が拓けるかも知れないのに。もちろん子どもができたのは嬉しいこと。でも何故今なの…という音の想い。父親になることに浮かれている夫の裕一に「だったら代わりに産んでよ」と言いたくもなる。

一方で、自分の目標にただひたすら向き合っている千鶴子。周りからは天才と言われているけれど、それに傲ることなく努力を重ねているのだ。天才の努力程無敵を作るものはないと思うのだけれど。そんな状況の中、突然現れた音みたいな子が、家庭もキャリアも全て手に入れようとする。「強欲ね」と言いたくもなる。

強欲なこと、貪欲なことは悪なのだろうか。何故全てを手に入れようとしてはいけないのだろう。「私は〇〇を諦めたんだから、あなたもそうしなさいよ」とか、「少しは相手の気持ちも考えなさいよ」という最もらしいセリフも、何か違う気がする。

その答えは分からないけれど、いや、少なくとも悪だとは思わないけれど、誰もが妻だったり母だったり〇〇だったりする前に一人の人間なのだ。その一人の人間が何を大事にするのか、優先するのかは他人がとやかく言うことではない気がする。ただ一方で自分の言動一つひとつが、誰か他の人を傷付けることにはならないだろうかと考えることも大切だな、とも思う。

ちなみにこの週で一番共感したのは、音でも千鶴子でもなく、音の姉、吟ちゃんがボソっと言った一言、「いいなぁ…赤ちゃん」でした笑。皆色々あるのよねっ!

生い立ちが全く違う二人(猫)を想う